花も木も凍った高尾山 [山歩き(日帰り)]
今回は、高尾山から小仏城山を歩きました。
6号路で登るつもりで前の日にビジターセンターの情報を見たら、倒木で通行止めとのこと。
じゃあ稲荷山ルートにしましょう。
高尾山には、先日に積もった雪がまだ残っているそうです。
予報によると今朝も雪が降るかも。
買い換えた軽アイゼンを使うのにいい機会です。
高尾山口駅に下りたら、外は雨でした。
雨かー。雪じゃないのか。
駅の軒下でレインウェアのズボンを履いておきます。
上はソフトシェルのジャケット。大した雨量ではないしそのうち止むでしょうから。
フードを被って出発です。
ツチグリだ。
以前から何度か見かけて何だろうと思ってたやつです。上から落ちてきた木の実だろうかと。
調べてみたらこいつはキノコで、ある程度成長すると地面から離れ、風で転がって移動するおかしなやつでした。
真ん中の袋を押すと、胞子の煙がぷしゅっと吹き出します。
空気が乾燥した日には周りの星型が閉じて丸まり、自分で袋を押すのだとか。
道には人影がほとんどなく、静かな高尾山でした。
登っていくうちに、道に雪が出始めます。
凍ってはおらず表面はざらざらしており、登りではアイゼンは要らなさそうです。
葉っぱの水滴に違和感を感じてよく見てみたら、氷になってました。
周りの枝のしずくも、ことごとく凍っています。
枝がまるごと氷で覆われているものも出てきました。
高尾山山頂も人がまばら。
いつもより遅い時間だったので、茶屋もビジターセンターも開いていました。
せっかくなのでビジターセンターを覗いてみます。
展示をゆっくり見ていると、自然解説員の人が話しかけてきました。
「樹氷見ました?」
はい、枝が凍ってて…樹氷?樹氷ってあの白い?
「朝、上がってきた時にはまだあったんですよ。樹氷は空気中の水蒸気が凍ってできるものなので、気温が低くて湿度が高くないとできず、高尾山ではとても珍しいんです」
あの枝が凍ってたのは樹氷が溶けたやつなのかなあ。
「ひょっとしたら、城山のほうに行けばまだ見られるかもしれませんよ」それは楽しみです。
スライドショーが始まるとアナウンスがあったので、そっちに行きました。
来た人は3人だけで、解説員と話をしながら進めていく形になりました。
「高尾山にはいろいろな哺乳動物がいます。高尾山で有名な哺乳類、知ってますか?」「人間」
そういう話ではなかったみたいです。
高尾山と言えばムササビが知られていますが、モモンガも住んでいるそうです。
ごく稀にしか見られませんがヤマネもいるのだそうな。
しばらく前に一丁平でクマが目撃されましたが、高尾山にはクマは生息しておらず、どこかから歩いてきたらしい。
スライドが終わった後、ムササビが食べた後の葉っぱを見せてもらいました。
ムササビは葉っぱを二つ折りにして真ん中だけかじるので、左右対称の穴のあいた葉っぱになるのだそうです。
やっぱり専門家にいろいろ教えてもらえるとおもしろいなあ。
こんな日に来られてラッキーでした。
ビジターセンターを出るときに、近くにいた解説員のお姉さんに声をかけられました。
昨年秋のショップの講座や登山ツアーでガイドをしていただいた方でした。
よく憶えてらっしゃる…!
高尾山から奥高尾方面への下り道はよく凍結していて、ここらでは最難関の場所です。
先の様子がわからないのでちょっと迷いましたが、アイゼンをつけることにしました。
歩き出してみるともうずっと雪道だったので、素直につけてよかった。
植生保護のロープも凍っています。
帰ってから調べたら、枝や物が氷で覆われているのは「雨氷」という現象だとのこと。
樹氷などとは別のもので、過冷却状態の雨粒が枝などに当たった衝撃で凍結したものなのだそうです。
来るときに見た枝が凍ってたのも雨氷かー。
落ちている木も氷でコーティング。
そういや雨は高尾山で止んでいました。
ジャケットは水をよくはじいてくれていました。
一丁平。
雲の切れ間から丹沢がちょっと見えたり見えなかったり。
小仏城山へと向かいます。
せっかくなので細かい分岐でメインじゃないほうを歩いたりしました。
お?これはさっきまでの氷づけとはちょっと違う…
樹氷?ビジターセンターのお姉さんの言ってたことは本当だった!
どうもこいつは、「粗氷」というやつっぽいです。
樹氷と同じく霧氷の一種で、違いは真っ白で粒子が細かいか、半透明で氷っぽくなっているか。
小仏城山。
週末ですが茶屋はやっていませんでした。雪のせいでしょうね。
いつもはにぎわっているここも、今日は3組くらいしかいませんでした。
木々は全て凍りついていて、上から溶けた水滴が雨のように降り注いでいます。
とてもフードなしではいられません。
茶屋の屋根の下を借りて、持ってきたお湯でお昼ごはんとお茶にしました。
にゃんこも2匹いましたが、何もあげないよ。山を下りなさい。
高尾山でかなりゆっくりしてしまったし、もうすっかりおなかいっぱいな気分でしたが、やはりこのまま小仏峠まで進むことにしました。
こんな日はなかなかないしね。
この、枯葉から風上側に伸びているのは樹氷っぽい?
周りの透明のは完全に粗氷の状態ですね。
梅の花が氷づけになっている!
これはおもしろい!きれい!
小仏峠へと下りる道の途中。
これはさっきまでのとはまた違うな。こっちこそ樹氷だ!
やっぱり高尾山と城山では、気象環境もちょっと違うんだなあ。
ずっと雪道が続いています。
アイゼンの歯が雪面に刺さる音と感触を楽しみます。
ツバキのつぼみも凍ってる。
小仏峠から見る景色は、満開のサクラと一瞬見間違えるようでした。
小仏バス停への歩きやすい道を下り、途中の水場でアイゼンを洗って、がらがらのバスに乗って満足して帰りました。
高尾山までの道や山頂ではすっかり時間をつぶしてしまい、予想よりも大幅に遅い時間になりましたが、雪と氷の高尾山を堪能させていただきました。
情報によると、高尾山ではヤマルリソウが咲き始めているとのことです。
春の足音ですね。
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