立山(後編) 一ノ越から雄山へ [山歩き(小屋泊)]
一ノ越への道もきれいな石畳です。
緩やかな上り坂を、お花や景色をきょろきょろしながらゆっくり登っていきます。
何て言っていいのかわからないけどこういう景色が好き。
高い山に囲まれた草原で、川が流れてて、地形がもこもこしてるの。
ウサギギク。
夏のお花はもうあまりないかもと思ってたけど、そんなことなくてよかった。
うーんと、ミヤマリンドウ。
ちょっと大き目のオヤマリンドウも咲いていました。
短い雪渓を横切ります。
滑らないようにげしげし歩きます。
おおお。何度でも見てしまいます。
崖っぷちみたいになってるのがいい。あと道とか小屋とか沢。
地味に登りなので、ふーふー登ります。
観光のついでに足を伸ばしてきたといった感じのご夫婦もがんばって登っています。
小川とお花ー。それに山と雲。
最後の坂を上りきると、一ノ越山荘の前に到着しました。
さっそく受付をします。
…え?今日はイベントのため一般客は受け付けてない?
そんなこと言われても予約してきたし…?
泊まれないなら室堂に下りるしかないのかなとか困ってたら、部屋はあるので大丈夫とのことでした。
よかった。
山荘の前からは、雄山へと登る急な道が始まっています。
どうしようかなー。
明日の天気はどうなるかわからないけど、今ならまだ大丈夫そうだし…。
行っちゃおう。不要なものを寝床に置いて、登り始めます。
ガレた急坂です。
すぐに一ノ越山荘が下方になります。
時間帯的に下りてくる人が多く、タイミングをとりながらすれ違いをします。
雄山山頂!
ザックを置いて、てっぺんへお参りに行きます。
拝観料を門のところで納めると、てっぺんにいる人たちが全員下りてくるのを待ってから、狭い岩の階段を登るよう案内されます。
風がやや吹いており崖っぷちなので、端っこには行くなとのこと。
標高3003m。富士山を除けば初の3000m峰です。
全員登ってきてご祈祷が始まるまでの間、てっぺんからの景色や明日歩く予定の道を眺めます。
終わったら次の人たちのためにすぐ下りなければならないですし。
標高の高いところに座っていなければならないので寒い。
ご祈祷を受ける時は帽子を取るように言われます。
自分はグローブは付けておいて、手を打つ時だけ外しました。
最後にお神酒を回し、下に下ります。
お社の前でおばさんがひとり、仲間が来ない来ないとおろおろしていました。
メンバーが、先に行ってしまった者と、祈祷からいつまでたっても戻ってこない者と別れてしまったとのこと。
祈祷は入れ替え制なので戻ってこないわけがない。かと言ってさほど広くない山頂を探し回るわけでもない。
「ここからはこっちの道を下ればいいんですよね?」と聞かれました。
それはこれからどこに向かうかにもよるのですが…
地図もなく、次にどこに行くのかもいまいち把握していないようです。
持っていた手書きコピーのメモやら話やらによると、室道平の山小屋に行くらしいことがわかりました。
いくら立山だと言っても、3000mの山頂に地図を持たない仲間を置き去りにして下りて行ってしまうリーダーなんているのか。
一ノ越でお仲間と合流できたようですが、やはり他にもまだはぐれているのがいるようです。
雄山からの下りで足に怪我をして救助隊に背負われてくる人がいて、その人がグループのメンバーなのかを救助者に聞いていました。
部屋に戻って着替えたりしてひと休み。
すごく寒い。布団を2枚、下に敷きます。薄手のダウンも着ちゃう。
表でなら携帯の電波がかろうじて立つときがあったので、到着の報告やら天気のチェックやら。
風が吹き越す場所だからか寒い寒い。
夕食は2順目っぽい。ほどなく時間になりました。
テーブルの周りの他の方々は、アウトドアイベントのツアーグループの人でした。
大き目のツアーで班も分かれていたので、みんな知り合いというわけではないみたいです。
向かいの男性に隣の女性が「今日はどちらを歩かれました?」と聞いてて、お連れさんに「ずっと一緒の班だったでしょう」と笑われてました。
クリームシチューおいしい。
カレーみたいなものだからもっと出くわしてもよさそうなのですが、山の夕食に出たのは初めてです。
まわりの方々も、天気を見て予定を前倒しして、今日のうちに雄山に登ったそうです。
明日は下りるだけみたい。自分はどうしようかな。
食事の最後に、この後ファーストエイドや装備のメンテについてちょっとした質疑応答会をするのでご希望の方はどうぞとの案内がありました。
ツアーガイドさんのところに行って、メンバーじゃないけど隅で聞いてていいか尋ねたら、混んでなければいいとのことだったので参加させていただきました。
質疑応答のときも、明日の天気や今夜の星空についてが話題になりました。やっぱり星を楽しみに登ってくる人も多いですよね。
外は風があって雲にも覆われていたのですが、部屋にいたら廊下から「星が見える」との声が聞こえてきたので、表に出ました。
さみー。
雄山のてっぺんの雲がぼんやり光ってます。お社の光かな。
この日は男性の一般客は自分だけだったようで、個室状態になりました。
ザックの中身を好き勝手に散らかして使っています。ありがたや。
消灯時刻までは館内の暖房も入ったようで、寒さもかなりましになりました。
ぐっすり寝て、午前2時に目が覚めました。
外は風雨のようです。
雄山でご来光を見るには4時には出ないといけませんが…うーん。
とりあえずおなかが減ったので、早弁してまた寝ます。
4時。
一段と強い雨の中、登り出す人たち。
雄山までは岩場の急な登りだし、その先は3000mの稜線が続きます。
今日は午後からは本格的な雨で、お昼まではなんとか持たないかと思っていたのですが…今からこれでは。
寝よう。
表が明るくなってくると、小降りになってきてました。
小屋の方の話では、今からだったら雄山までは行けるとのこと。
登っていくグループのガイドさんも、8時までは持つと見ています。
その後は大きな雨雲がやってくる見込み。
雄山に行くだけなら昨日行ったし、今のうちに下って、室堂を散策することにしました。
雨具も着ておきましたが、歩き出すと雨もほとんどやみました。
昨日行かなかった場所に寄り道したりしながら、早朝の高原を楽しみます。
室堂ターミナルからはバスで富山方面に向かいます。
新幹線のおかげで、行き来するだけなら長野よりも富山のほうが近くなったんだよね。
車窓から、見ればわかる存在感、剱岳の勇姿がよく見えました。
今の新幹線は、列車の名前がもうわからない…。
室堂から乗り物を乗り継いで8時間以上。早めに出たとは言えさすがに遠かった。
今回は2日目の天気こそあいにくでしたが、まともに降られる前に下りてこられました。
初日はいい天気だったので雄山まで行ってしまったのも正解でした。
縦走もしたかったけどそれはまた今度。
これで立山への行き方はわかったので、次は天気のいいときに来よう。
コメント 0